ホーム The Lions Blog 試練が生んだ強さ:ブルックリンの緊急救援隊員ライオンズクラブが最前線で奉仕

試練が生んだ強さ:ブルックリンの緊急救援隊員ライオンズクラブが最前線で奉仕

ナターシャ・デ・ロエラ 2025 年 09 月 12 日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックほど、ウィンストン・ウィラバスの「ニューヨーク市警(NYDP)捜査警部補および司令官」というバッジが重く感じられたことはありませんでした。交代勤務が次々と連続し、18時間、ある時には20時間の勤務が続き、休憩の見通しもありませんでした。しかし、元海兵隊員であったウィンストンは、忍耐と犠牲というものを良く理解していました。彼はチームと地域社会に対する決意を固く保ったのです。

緊急救援隊員も人間であることを誰もが理解するとは限りません。涙も流すし、傷つきもします。しかし、それを見せないで我慢することが当然とされているのです。

時を同じくして、米国内では人種差別に対するデモと警察改革を求める声が強まり、警察と一般市民との間の緊張感が高まっていました。警察官は増幅する怒りに直面し、時には制服を着ているだけで標的とされることもありました。あるデモの間、ウィンストンは、上司が凄惨な暴行を受けるのを目にしました。その瞬間、彼の心は激しく揺り動かされたのです。

個人事業主であり地域社会のリーダーであった妻のディンプルは、これらの出来事が夫と夫の同僚に及ぼす負担を近くで見ていました。「緊急救援隊員も人間であることを誰もが理解するとは限りません」と彼女は言います。「涙も流すし、傷つきもします。しかし、それを見せないで我慢することが当然とされているのです」

ある朝、ウィンストンは家を出ようとするところで立ち止まりました。疲れ果ててはいますが、それでも屈しない様子でこう言ったのです。

「ライオンズは何かをすべきだ」と。「私たちも支援を必要としている。ここで死にそうになって働いているんだ」

ディンプルは固まりました。ニューヨーク市警での21年間にわたる勤務の間も、ウィンストンは困難に関して一度も率直に話したことはありませんでした。しかし彼らしく、行動する準備が整っていました。

ディンプルは以前ライオンズに関わったことがあったので、すぐにその可能性を見出しました。ライオンズクラブは地域社会奉仕だけでなく、友情や支援を通じた緊密な人脈を作り出します。まさにそれが、緊急救援隊員が必要としていたものでした。

2022年2月9日、ウィンストンとディンプルはブルックリンで緊急救援隊員ライオンズクラブを結成しました。一つのアイデアのひらめきから始まり、献身的に他者に奉仕する人々が安心できる場が生まれたのです。

ブルックリンに2人で立つ緊急救援隊員ライオンズクラブ創始者、ウィンストン・ウィラバスおよびディンプル・ウィラバス

独特なフォーカス

緊急救援隊員ライオンズクラブは、ニューヨーク州において他にない独特なクラブです。33人の会員のほとんどは警察官ですが、同様に奉仕に全力を注ぐ刑務官や救急救命士、そして一般市民もいます。

クラブの焦点は二つあります。会員の心身の健康を第一とし、その上で彼らが守る地域社会に奉仕することです。

クラブ例会はメンバーが悩みを打ち明け、支えを得るとともに、日々の多忙な役割の重圧からひととき離れられる避難所のような場となっています。ディンプルはこのように語ります。「長時間勤務の後は、リラックスして、一緒に笑い、心を開放する時間が必要です」

健康と幸福がこのクラブの文化に息づいています。心理士から軍の専門職員、パイロット、不動産業者に至るまで、ゲストスピーカーは心の健康から栄養、定年退職や資産計画についてなど様々な事柄に関して実践的なアドバイスを話してくれます。

講演の他にも、クラブではウェルネスウォークを主催し、日々のルーティンや運動と食事について気軽に話すことを奨励しています。これらはシンプルですが地に足を付けつながりを保つ大切な方法です。

力を合わせてより力強く

祝賀はクラブの文化の重要な一部です。「私たちはライオンズ一人ひとりを祝います」とウィンストンは語ります。地元のピザ屋であれローラースケート場であれ、非公式に集まることで会員が制服を着ていない時にもリラックスして交流することができます。

ウィンストンは言います。「会員が日々直面している困難について知ることができるのは、このような非公式で集まった時です。母親が病気であることや子供の再入学のことで悩んでいることを話してくれる場合もあります。そのことを後で仕事の時に念頭に置いておくことで、その人たちが休暇を取ったりより負担の少ない任務に就かせたりすることが必要な時を見極めることができます」

予測不能というこの職業の性質に対応するため、クラブは柔軟性を持つようにしています。緊急事態が起こり予定通りに行かないことはよくあることなのですが、その場合はクラブは単に柔軟に対応して調整し直すのみです。

心を満たす奉仕

会員同士の絆は共通の職業に根ざしていますが、奉仕事業に取り組むことによってさらに強まります。

彼らはある事業でブルックリンのボクシングジムに行きました。ニューヨーク市警子供プログラムは、元ニューヨーク市警警部補のパット・ルッソが創設し、12歳から21歳の青少年に無料のボクシングとフィットネスのトレーニングおよびメンタリングを提供しています。

「銃を下ろし、拳を上げ、グローブを装着せよ」というモットーを掲げたこのプログラムは、路上での暴力に代わる安全な活動を提供し、参加者に警察、消防、医療などの将来のキャリアについて考える機会を促します。

ブルックリンのボクシングジムで青少年をメンタリングし、健康、安全、キャリア目標を促進する緊急救援隊員ライオンズ

これは緊急救援隊員ライオンズクラブが関わる絶好の機会でした。伝統的な制服を着た警察官が来るだろうという想像とは裏腹に、クラブ会員がライオンズのTシャツと黄色のベストを身に着けてジムに来た時に子供たちの見方は変わりました。

「警察官の中には公営住宅で育ち、この子供たちのように学校で大変な思いをした人もいたのです」とディンプルは言います。「この警察官たちも同じ地元出身なのだと知った子供たちは仰天しました。」

ウィンストンは、青少年を明るい未来へ導くためにはメンタリングが不可欠だと考えています。「私たちが彼らの人生の前進を支え、可能性を実現する手助けをするためにここにいることを、彼らは理解しています」と彼は言います。

もう一つの成功した事業は2024年のホリデーシーズンに起きました。クラブはニューヨーク市警察第63分署およびニューヨーク市矯正局の警察犬部隊と協力しておもちゃや本、お菓子を200人以上の子供たちに配布しました。

しかし本当の贈り物は、子供たちが決して忘れることがないだろう体験、すなわち、地域社会を安全に保っている4本足のヒーローたちに会えたことでした。

ホリデーの喜びを届け、子どもたちに警察犬の重要な役割について教える緊急救援隊員ライオンズとニューヨーク市警および警察犬部隊

「子供たちは刑務官や警察犬に初めて会ったのです」とディンプルは言います。「子供たちは、警察犬はただのペットではなく真のパートナーであることを学びました」。犬たちは服従訓練の試験に参加し、麻薬探知の訓練を行い、加害者の制圧を支援し、さらには医療緊急時にも手助けすることができます。「実際に活動している警察犬チームを見ることは、子供たちの警察に対する見方を本当に変えました」とディンプルは語ります。

奉仕のレガシー

未来のライオンズと地域社会のリーダーを育成するために、緊急救援隊員ライオンズクラブはレオクラブをスポンサーしています。ウィラバス夫妻の若年成人である2人の子供たち、アナヤとブランドンもそのメンバーです。

レオが小児がんを患った子供たちを支援するために5キロマラソンを企画したいと提案したとき、フィットネスやイベントの計画の経験を持つライオンズクラブ会員はそのアイデアを実現するために進んで支援しました。この出来事は、きちんと指導すれば若者もリーダーシップを発揮し永続的なインパクトをもたらすことができるということをウィンストンに再確認させました。

地域社会奉仕を先導しライオンズのレガシーを受け継ぐアナヤとブランドンを含むレオクラブのメンバー

「若い会員を取り込むならクラブは発展するということを目の当たりにしました」とディンプルは言います。「だからこそ、私たちは新しい世代を育成するのです。そうして彼らが私たちのレガシーを受け継ぐことができるようになるためです。全ての人は、生まれながらに奉仕の心が備わっているのです」。

力強い地域社会は力強いクラブから始まります。会員を支援し地域社会に奉仕するリソースは、lionsclubs.org/mental-healthからご覧ください。


ナターシャ・デ・ロエラはライオン誌の編集者です。