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思いやりは、大切なこと

絶望より早く届いた希望の光

2026 年 06 月 15 日

ただ奇跡を願うよりも、速やかに手を差し伸べることで、幼い子どもが命を落とさずに済むこともあります。

ベアトリスのこの物語は、思いやりがその場限りの行為でないことを証明しています。人が誰かのことを思って行動を起こすと、その思いはさざ波のように広がっていきます。

フィリピンのレガスピ・シティに住むベアトリスはもともと、いつも日が暮れるまでずっとクレヨンで絵を描いて、それが何より楽しいという女の子でした。ところが3月のある穏やかな日、彼女の生活は一変しました。単純に視力検査に出かけたところ、両親はベアトリスについての診断を告げられ、足元が崩れ落ちたように感じました。彼女は網膜芽細胞腫という稀少疾患、眼球にできるがんを発症していたのです。

単なる病気の診断には思えませんでした。ベアトリスに対する死亡宣告に等しいと、両親には感じられました。

「すぐにでも手術が必要です」と、医師たちははっきり伝えました。来月になったら、費用が工面できたときには、では間に合わない。今、すぐにです。時間は待ってくれません。両手ですくった指の隙間から砂がこぼれ落ちるように、日にちだけが静かに過ぎていきました。

2,741.74米ドルという手術費用は、ベアトリスの両親にとって、どうしても手の届かない高い壁のように感じられました。手詰まりでベアトリスを救うことはできないのかと思っていた矢先、サイト・フォー・キッズと301-A2地区のタバコ・シティ・ユナイテッド・ライオンズクラブの支援により、ベアトリスに希望の光が見えてきました。ライオンズクラブ国際財団(LCIF)とジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョンは共同で、サイト・フォー・キッズ(SFK: Sight For Kids)を立ち上げました。これは学校単位の保健プログラムとしては世界最大規模のもので、低所得地域の学校に通う子どもたちを対象に、眼の健康のための包括的なサービスを提供するものです。

サイト・フォー・キッズ事業に取り組むライオンズ

手術が可能なタイムリミットが迫り、専門医はほどなく離任する予定で、がん転移のリスクも高まるという切迫した状況の中、交付金の承認は思いがけず素早く下りました。絶望に沈んでいた家族に、一筋の光が差し込んだのです。彼女の家が少し遠くても、交付金申請の手続きが複雑でも、それは問題ではありません。目の前に助けを必要とする子どもがいるという思い、それだけでライオンズは迷わず動きました。

その瞬間、SFKは単なる支援の枠を超えました。ベアトリスにとっての命綱、絶望から生きる希望に移るための架け橋となりました。不可能が可能に変わったのです。

静かに、しかし力強く、思いやりを原動力とした活動はさらに続きました。タバコ・シティ・ユナイテッド・ライオンズクラブ、地域モバイル・フォース・バタリアン(RMFB5)、サービシータ(タガログ語で「奉仕」の意味)が、パズルのピースのように一致団結しました。そして3月13日、ベアトリスは入院しました。病室に入ったベアトリスも家族も、緊張と不安で震えていました。母親は、娘を全力で守るのだという姿勢を示すかのように、その手をしっかり握り続けていました。3月14日、手術が行われました。客観的に見れば、単なる1件の手術でした。しかし家族にとっては、絶望への反撃でした。そして、希望が勝ちました。

手術は成功しました。3月17日、ベアトリスは容体も安定し、無事退院しました。彼女は片目を失ったものの、生命の危機は脱しました。彼女にはまた、明日が見えるようになったのです。

サイト・フォー・キッズ事業に取り組むライオンズ

さらに、ライオンズの思いやりは、ベアトリスだけに向けられたのではありません。小学5年生の兄には、RMFB5の「プロジェクト・ファイブ」(Project F.I.V.E.)から奨学金が贈られました。思いやりは、ひとりの生命を救うだけにとどまらず、家族全員をも支えるのです。

ベアトリスは現在、生検の結果待ちですが、早期治療によってがんの転移を防げていたらいいなと願っています。先行きはまだまだ不透明ですが、とにかく彼女は命を落とさずに済みました。それにまさるものはありません。

ベアトリスのこの物語は、思いやりがその場限りの行為でないことを証明しています。人が誰かのことを思って行動を起こすと、その思いはさざ波のように広がっていきます。

サイト・フォー・キッズは単に手術費用を支援しただけでなく、ひとりの子どもが未来を取り戻す手助けをしたのです。彼女だけでなく家族みんなが、落ち着いて暮らせるようになりました。奇跡は必ずしも派手とは限りません。病室でひっそりと、目の前の現実から目を背けなかった人々が素早い決断を下すことで、静かに起こることもあるのです。

医療の力で救われる子どもがいる一方で、誰かがどこかで行動を起こすことで救われる子どももいます。

ベアトリスは今なお闘病中ですが、未来を夢見てもいます。彼女の物語は、多くの人の心に響くものです。ほんの小さな思いやりが、誰かの命を救うことにつながるのです。

奉仕の真価は、そこにあるのかもしれません。ヒーローになることではなく、希望を失いかけた人に、それを取り戻させてあげることです。

サイト・フォー・キッズ・プログラムに1ドルを届けると、助けが必要な子どもたち4人を支援することができます。サイト・フォー・キッズ・プログラムなど、視力の問題に直面していて支援が必要な子どもたちに手を差し伸べる取り組みの詳細は、こちらをご覧ください