| 何がどう変わるのか
(ライオンズクラブ国際協会長期計画委員会への報告書/選択的未来研究所/1987年12月)
6. 勧告
6-2. 奉仕についての勧告
下記の勧告は、ライオンズの今後の奉仕活動はすべてこうあるべきだと考えられる指導原理に基づいて、選択的未来研究所がまとめたものである。
A. ライオンズは、これまでに収めてきた成果を土台として、その上に今後の奉仕活動を構築すべきである。したがって、何か新しい奉仕活動の方向を模索する時も、継続性を決して無視してはならない。
B. 奉仕意欲は、志気と会員数の低下に対してやみくもに指導力を強化したり、急いで「対応策」を研究したりすることから生まれるものではない。それは広範囲にわたる調査の結果として、ライオニズムの内外の専門家たちと話し合いながら導き出されるべきものである。
C. すべての奉仕活動は国際的な文脈の中での意味づけが必要であり、それは個々のクラブの活動が全体としてのライオンズの使命にどんなかかわりを持つかということである。つまり本質的には、奉仕活動は地方的な関連性と国際的な意義の調和の上に行われなければならない。
D. 地方政治、公私の諸団体との共同及び合同事業、そして幅広い交流が、今後のライオンズの奉仕活動を成功させる最善の機会を提供する。ライオンズは、こうした共同事業を選択するに当たって、自分たちの活動がその中に組み込まれるようなものではなく、むしろ他の団体との連合によって高い評価を得るようなものを採り上げるべきである。「我々の役目はただの資金集めか……ハート基金のような疾病機関のための人足か……我々が働き、彼らが評価されるのか」という不平が個々のライオンズクラブの間から出ないよう、万全の策が取られなければならない。
E. 主要奉仕活動の立案に当たっては、一連の奉仕の各局面を説明する段階的な大綱を作成し、その総合計画の一部として会員に示すべきである。そうすれば会員の関心と協力を何年にもわたって維持出来る。例えば学校制度の中に「ライオンズ-クエスト」の教科を導入させようという時には、一環の青少年教育活動の第一歩として提示すれば、個々のライオンズはその段階に併せて選択し、参加することが出来る。すなわち、ある過程を終えたところで、クラブは更に継続するには次に何を選択するのかを知ることが出来る。
F. ライオンズの携わる仕事のあらゆる側面にわたって、その意義をライオンズ及びライオンズ以外の人々に認識してもらうような総合的事業には、専門的な広報活動が不可欠である。メキシコとインドのように、まるで異なった国々があることからも、いかに優れた広報活動が必要であるかがよく分かる。
G. 奉仕活動はその必要性もさることながら、それが会員の若い世代に何を訴えるのかを配慮しながら行われるべきである。「独立連盟」のようなグループは、アメリカでのボランティア活動や社会事業の累計を研究し、アメリカ人がボランティアのために使う時間と資金の向上を図ろうとする動きもある。彼らにそうした技術的援助を求めることも、ライオンズにとって有益であろう。
奉仕についての勧告 1
保健奉仕を整理統合して、ライオンズクラブ国際協会の国際的な奉仕活動の主流を視力保護に集中させ、治療よりも予防に重点を置く。
ライオンズクラブ国際協会の諸報告に明らかなように、ライオンズの活動は全世界にわたって、非常に広くかつ多岐である。したがって、L・C・ウィリアムス・アンド・アソシエイツ社の調査でも指摘されたように、ライオンズにはこれといった奉仕はないと言えるかもしれない。そこでIAFは、今後の世界的な奉仕活動の主要なものとして、視力保護を取りあげるよう提案する。失明防止は現在も今後も引き続き、全世界の最も重要な保健活動である。ライオンズは、発展国と発展途上国を問わず視力のための業績によって、世界的な評価を受けるべきである。
実行戦略:
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視力保護活動を全面的かつ子細に点検し、予防に重点を置いて何を継続し何を取り止めるか、また新規に何を加えるかを検討する。
- 失明問題を専門とする他の団体や機関の助言を求め、今後のより広範な視力計画の策定に何が最善かを検討する。
- アイバンクへの資力投入を縮小することの可否を研究し、併せて発展国での「高度技術」による資力保護の別の方法を探る。
奉仕についての勧告 2
失明を防ぐための国際的な協力をいかに迅速に呼び起こせるか、ライオンズの力を試してみる。
実行戦略:
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全世界のクラブの参加を促して、ビタミンA補給業への協力を考えてみる。ヘレン・ケラー協会のような財団とか、ホフマン・ラローシュのような製薬会社と共同して、これまでの州とか地域内でのライオンズの合同事業(例えばフィリピン共和国に対するアメリカ・ウィスコンシン州ライオンズの援助)を越えた巨大奉仕を試みる。
- 国際的な要請に迅速にこたえるため、「河川失明」に無防備な人々に「アイバーメクチン」薬剤の伝達を支援する。製薬会社のメルク、シャープ、ドウム各社は最近、アフリカや中米の河川失明症もしくは「河川失明」にかかりやすい人々にアイバーメクチンの無償供与を発表している。そこで問題は、その薬剤を本当にほしがっている地方の人々の手にそれが渡るかどうかである。世界保健機関が、その伝達を確実なものにする体制づくりに協力しよう。これこそ、失明防止という重要な運動に対するライオンズの「反応の素早さ」を示す絶好の機会となる。製薬会社の思いやりある申し出がニュース性を持つなら、その実現に協力しようという社会奉仕団体の善意も同等に扱われるに違いない。
奉仕についての勧告 3
世界的なエイズ教育の運動を始める。エイズは今日の世界の最も深刻な保健問題である。ライオンズクラブ国際協会がその予防にいくらかでも努力しようとする姿勢を示すことは、社会奉仕団体としてのライオンズの「社会性」の表れであり、それによって他の多くのボランタリー団体から抜きん出ることになろう。
実行戦略:
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世界保健機関や疾病抑制センターと手を結んで、エイズに関するパンフレットの制作と利用、必要ならライオンズ用に書き直して、少なくともライオンズのマークを添付して配布する。
- エイズに対抗する手段として、例えば「漂白運動」を引き起こすなど、いろいろな方法を考えてみる。漂白剤は、診療準備が不潔で十分でない貧困地域で、注射針その他の器具を衛生的に保つのに最適な、簡単で安上がりの消毒剤である。
奉仕についての勧告 4
青少年の「就業適正」を進める活動を世界的に取りあげる。発展途上国の仕事不足であれ、将来の雇用問題はすべての青少年にとって最大の関心事である。
実行戦略:
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国内的、国際的にその専門家たち(全米実業連盟、ガールスカウト、ボーイスカウトも含めて)と会合を持って、青少年の職業訓練と雇用に関する業務のどこに欠陥があるかを十分に調査する。例えばガールスカウトでは、このことに関する優秀な長期適性検査方法を開発している。
- レオに関する事業を再点検し、「就業適正」の目標達成に効果があるか、同世代の青少年に訴える魅力があるかを調べる。
- 青少年の「就業適正」活動計画によって、各クラブはその業務の提供と同時に、そのための資金調達に取り組む機会を得る。学生たちの作業研究を実業家に依頼し、ライオンズは、そこで「よきボランティア」としての奉仕活動の見本を示すなどが出来る。
選択可能な諸活動の総合計画をライオンズで作り、国によって異なった形で取りあげられるように、世界各地のクラブに提供する。
- 会則上の各地域ごとに、職業訓練に関して青少年が何を求めているのか、「環境調査」を実施する。青少年と将来の雇用の状態に関する啓蒙記事を編成し、『ライオン誌』の新しい連載とする。
- 町単位で「青少年フォーラム」を開催し、自分たちの子どもの問題として家族ぐるみ巻き込んで、仕事への適応のために個々の学校を支援するのに、どんな方法があるかを研究する(ライオンズ-クエスト計画に用いられた「タウン・ミーティング」の考え方を発展させる)。こうした話し合いに家庭の参加を求めることは、ライオンズの関心を高める一方、新会員の招請にも役立つことになる。
- 「市街地指導員制度」を設置し、都市中心地の新しい精力を結合させて、学校での非行や薬物乱用などの青少年問題に対応することを考える。ライオンズと手を携えてそのような行動に人々を立ち上がらせるために、奨励金としての資金援助や国際協会の持つ組織力を動員することも必要となろう。この事業を起こすに当たっては、事前にその候補都市の実情を調査し、ライオニズムが最も有効に機能するところを選ぶべきだろう。
奉仕についての勧告 5
ことにアメリカの学校で大きな問題となってきた「国際的文盲」を対象として、一連の教材を開発する。「価値教育」の面での教育課程の開発にライオンズが成功したとすれば、アメリカの子どもたちの他の世界に関する無知、それが我が国の国際競争力への障害と見られているのだが、それに打ち勝つ重要な奉仕をライオンズの手で行うことになる。最近、教科監督及び開発協会が1,600の学校校長を対象に行った調査の結果、地球的な問題に対する教室での関心は非常に低いことが明らかにされた。また南部知事会の報告によると、9カ国の10〜14歳の3万人を対象とした国連の調査で、アメリカは外国文化の理解度で最下位であったという。更に、20%のアメリカの学生が地図上のアメリカの位置を示せなかったこと、外国語に接したことのある小学生は1%に満たないこと、授業科目の中で地理はほとんど教えられていないこと、教師たちのほとんどは外国文化に親しんでなく、またそうした訓練も特別に受けていないことなどが指摘されている。
実行戦略:
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ライオンズクラブ国際協会は、南部知事会や教科監督及び開発協会などのような、国際的文盲の問題に関心のある全国的団体と会合を持つべきである。
- ライオンズクラブはまた、異文化間の関係改善と世界相互理解の促進を使命とするペイノス研究所や世界資源研究所、あるいは国際教育者育成協議会のような団体と会合を持つべきである。
- ライオンズは「地球社会」に関する教科書や教材、ビデオ、短編映画などを制作して、異文化と飢餓や環境世界平和などの世界的諸問題を青少年に見せるとよい。
- 各ライオンズクラブは、それぞれの学校制度の中で地理や異文化理解に関する十分な教材が用いられているかどうか、自分たちの目で確かめてみるとよい。多くのクラブは農業地帯に存在し、そうしたところでは問題が大きければ大きいほど遠ざかる傾向があるので、これは重要な奉仕となり得る。その代償として、ライオンズは世界的な問題に関心を持つ団体として大きく取り扱われることになろう。
目次
1. 総括
2. 緒言
3. 地球社会の動向
4. 奉仕分野の動向
5. ライオンズクラブ会員:その課題と意味
6. 勧告
「21世紀を迎えるライオンズクラブ国際協会〜何がどう変わるのか」全文(PDF)ダウンロード
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