| 何がどう変わるのか
(ライオンズクラブ国際協会長期計画委員会への報告書/選択的未来研究所/1987年12月)
3-7. 地球的な都市化
地球の全域にわたる都市化は、20世紀後半における最大規模の人口移動をもたらした。1950年の都市住人は6億だったのが、1986年には20億に達した。その大部分が片田舎と思われる第三世界の国々でさえ、仕事を求める人々の都市への大移動が始まっている。インドでは24%の人が都市に住み、アフリカでは30%、中国では32%、日本と台湾ではそれは実に半数以上に達している。この傾向が続けば、2000年を超えるころには人類の半数が都市部に住むことになろう(ブラウン、前掲書38ページ)。
アメリカでも、農業地域から大都市地域への人口の集団移動が起きている。この10年間に発生した農業経営の負債と、国際貿易での新しい実態は、アメリカの小規模農場を地球的な競争の前に無力化した。沈滞した農業経済は全国の農業「中心地」に波及し、都会地への人口移動は年率にして1%にも達して続いている。今やアメリカの人口の76%が大都市圏に居住している(人口統計局『再び3月のアメリカ大都市圏の人口』、今日の人口、1986年1月)。
メキシコその他すべてのラテン・アメリカ地域では、こうした都市への人口移動は危機的な割合にまで達しいている。例えばメキシコ・シティでは年率12%に達し、急激な都市化が福祉と資材の極端な不足をもたらすという典型を示している。農業基盤が衰退し、その地域の人口移動をくい止めるために有効な改善計画を持たない国々では、都市地域へ出ることが仕事にありつく唯一の希望となっている。ところが、世界的に新しい都市空間を求めて流入する何千という人々にとって、就業の機会は少なくなる一方である。
アメリカの都市もまた目に見える一連の苦難に悩んでいる。1960年代の人種暴動、70年代の中産階級の逃避、80年代の連邦による広範な援助の消滅、そして一部都会地の上流社会化は、多くの都市に将来の深刻な問題を残した。1987年12月にアメリカ市長会議が発表した報告書は、26都市で起きた飢えと居住不安と貧困による暴動の詳細な記録を留めている。少数民族の人口が増え、下層階級の「強行派」が大きくなるにつれて、低所得層の住居、雇用、教育がこれらの20年間を左右する課題として浮かび上がっている。
公私の連携
ライオンズの動向調査が示すところによれば、アメリカその他の多くの国々では、政府の限られた財源では解決出来ないこれらの社会問題について、各国政府はますます民間の援助に依存する傾向が見られる。これから先、地方企業と地方政府に財団や地域団体が加わって、ことに都会地における社会福祉事業の面で相互負担してゆく範囲がますます広がってゆくものと見られる(ミッチェル・スビリドフ『青少年対策』1987年9月、第9巻231ページ)。経済的な景気後退と中央政府に依存する政策の変更に伴って、自立のための基本的な保証となる自助の試みが、社会的に行われるようになってこよう。
第一及び第三世界の間では、将来どんな奉仕が必要とされるか、豊かな国と貧しい国の間の不均衡が拡大するにつれて、大いに異なってこよう。会員の関心の相違を埋め、統一した事業計画を設定するには、ライオンズはどうすればよいか?
各クラブが所在する地域の人々と社会を満足させる事業計画を、どうすれば企画し推進出来るか?
大恐慌の時、ライオンズは各地の貧しい人々の要望にこたえるという明確な役割があった。アメリカその他の国々で福祉制度が整ってきた現在、ライオンズが手を差し伸べることが出来る最も有効な「奉仕の谷間」は何か?
老化するアメリカにあって、アメリカのライオンズは、高齢化問題と正面から取り組むべきか?
衰退する農業地域のライオンズは、「農業復活」の事業を考えるべきか?
ライオンズの動向調査によると、世界の各国政府は社会問題への対応について、ボランタリー団体の協力を次第に求めてきている。都市に内在する諸問題は、特にアメリカにおいて、ライオンズにどんな機会を投げかけているか?
目次
1. 総括
2. 緒言
3. 地球社会の動向
4. 奉仕分野の動向
5. ライオンズクラブ会員:その課題と意味
6. 勧告
「21世紀を迎えるライオンズクラブ国際協会〜何がどう変わるのか」全文(PDF)ダウンロード
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