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何がどう変わるのか
(ライオンズクラブ国際協会長期計画委員会への報告書/選択的未来研究所/1987年12月)

3-2. 技術の変革

第2次世界大戦後、ジェット旅客機や通信衛星のような技術開発が進み、それがLCIのような団体の国際的な運営を容易にすることに役立った。今後の数十年に起こる技術革新も、同様にLCIの持つ能力と構造に大きな効果をもたらすだろう。

今日、進められている技術革新は、非常に大規模なもので、その全体像を把握することはほとんど困難である。例えば通信(テレコミュニケーション)と情報処理(インフォマティクス)を組み合わせたテレマティクスという情報サービスが完成すると、それはオフィス業務を始め、製造業、社会団体、教育に、ほとんど革命的な影響を与えよう。分子生物学と遺伝子の組み換え技術は、従来の生物進化の法則をくつがえすような動植物の飼育培養への飛躍をもたらすだろう。新たな高度エネルギー効率を求めて、1つあるいは複数の「永久的」なエネルギー源、復元力のある中性子エネルギー、核融合あるいは分裂炉など、かつての化石燃料への転換にも匹敵されよう。アーサー・C・クラークの説くところによれば、人類が宇宙への足跡をとどめようとしている今は、生命が海に生まれ陸への足がかりをつけようとした進化と同等の発展であるという(アーサー・C・クラーク『宇宙の将来〈バークレイ・ブックス1985年刊〉』)。わずか1、2世代の間に、こんなにも数多くの大規模な技術革新が相次いだことは、人類始まって以来、前例のないことである。

我々のこの時代、つまり情報革命、生物学革命、エネルギー転換、その他の広範な技術革新は、まだ緒に付いたばかりで、その終わりではない。現在、環境や社会に対する予期出来ない否定的な技術上の影響が見られるが、これは我々の技術が真の意味での先端的なものに達していないという明らかな証拠である。我々の技術社会は現状から更に進展するだろうが、そこには危険も伴う。

情報革命は、例えば未来にある良い面と悪い面を明らかに示してくれる見本である。その技術革新は、世界中のライオンズクラブの在り方に最も直接的なかかわりを持つことだろう。

オフィスでは旧式の電話機やタイプライター、キャビネットなどが姿を消して、新しい機器にとって代わられる。マイクロコンピューター、大容量の文書を保存出来る光学ディスク、文書処理、拡大機能、図表等の画像処理、ネットワーク、電子メール、音声通信、電話会議、内外のデータ通信、スキャナー、それに声帯認識と人造言語などが考えられる。ところが、これらの「オフィス・オートメーション」の技術は、今のところ修得と実用には困難を伴う。漸次、少しずつ試みられているが、初めての時は事務の手順を十分に考えもせず、明確な目標もないままに取り入れられているのが実状である。混乱状態をオートメーション化すると、混乱の速度が進むだけである。しかし、数十年の間には、これらの技術は親しまれ、使いやすく、はるかに効率的なものになるだろう。

製造業においては、産業オートメーションが新しい段階を迎え、コンピューターによる産業デザイン、計画生産、産業ロボットなどの新技術が取り入れられる。いずれこれらの技術が総合され、コンピューターによる柔軟・統合生産システム(CFIM=コンピューター・ライズド・フレキシブル・インテグレイテッド・マニュファクチャリング・システム)といったものが作り出されよう。そこでは、ソフトウェアに手を加えるだけで、今ある製品を作り替えたり、新しいものを作ることが可能になる。「大量な生産物は、より安価な多品種少量生産物に取って代わられる。消費者は、自分のコンピューター端末に製品の好みを打ち込めばよい。価格は下がり、品質は格段によくなる。製造業の仕事はますます少なくなる一方で、アメリカその他の先進工業国での製造業は勢いを取り戻すことになっている。

教育と通信では、情報技術の高度開発が進み、「情報の総合利用」とでも言うべき範囲にまで及んでこよう。そこでは、だれでもどこでも、それほどの費用をかけないで、だれとでも会話を交わし、文章やデータ、画像、映像を送ることが出来る。我々は、世界の大きな図書館に収められている蔵書に等しい情報源を手にしているわけで、更に人工知能(AI)とも言えるツールを使って、情報という干し草の大きな山からどんな針のような知識でも、探し出すことが出来るようになる。利用者の知識や学習レベルに合わせて情報を仕立て上げ、また豊富に連結された「超高度メディア」を通じて、人は自分の好むものを追求することが出来る。例えば、著作物の脚注に引用された文献を即座に引き出し、またそれに関連した映像記録を見ることも出来る。人の知識が集積され、だれの手にも届く体制が身近になると、我々の学習効果は非常に上がるが、それは文字や印刷の発明が社会に与えた影響にも劣らないほどのことである(クレメント・ベゾルト、ロバート・L・オルソン「情報の黄金時代〈『選択的未来』ワシントンDC情報産業協会刊〉」)。

情報のこの新しい可能性をたどる道筋には、しかし、さまざまな危険もある。教育においては、例えば単純な「訓練と実習/○×回答」に重点を置く今日のやり方は、非創造的な丸暗記術を助長するばかりとなろう。生活のあらゆる領域に専門知識のみが行き渡ると、健全な意思決定には人工知能では持つことが出来ない創造力と直感力、そして道徳観を必要とすることを忘れ、人間軽視に陥る危険がある。情報の集積と利用の可能性が広がれば広がるほど、必要なものだけを探し出す我々の選択能力を高めない限り、「情報の渦」に巻き込まれることになるだろう。個人がさまざまな機関、例えば教育、商売、財産運用、官庁、刑事裁判、その他と持つ交渉の電子的な記録が増えてくると、データベースに簡単にアクセスし照合することによってプライバシーが侵されるようなことも生ずるだろう。それが極端になると、先端情報技術による独裁主義者の社会統制さえ、考えられないことではない。一般事務並びに製造業のオートメーション化は、失業という亡霊を甦らせ、あるいは少なくとも、より多くの人々がより賃金の低いサービス業へ転落することを誘うことになろう。

以上が今日進行している大きな技術革新の全体像である。その恩恵のみを刈り取る唯一の道は、そこに横たわる危険をうまくさばいていく以外にない。


LCIが、特にプロダクション及びコミュニケーション部門において、最新式の事務オートメーションを取り入れるためには、これまでとは違ったどんな情報技術が必要か?
「混乱の促進」とならないよう事務オートメーションのために、LCIの手続きをどのように合理化、簡素化することが出来るか?
LCIは情報の中央集中体制を脱するために、中央以外の場所に補助設備を持つべきか?
コンピューター会議その他の技術を取り入れることによって、諸行事のためのLCIの旅行経費を節減し、同時に会員の間のコミュニケーションの質を高めることが出来るか? 日に日に安くなっている新しい情報技術による利益を世界のLCI会員が享受するには、どうすればよいか?

目次

1. 総括

2. 緒言

3. 地球社会の動向

4. 奉仕分野の動向

5. ライオンズクラブ会員:その課題と意味

6. 勧告

「21世紀を迎えるライオンズクラブ国際協会〜何がどう変わるのか」全文(PDF)ダウンロード